トレチノインは、ビタミンA誘導体のことで、ターンオーバー(肌の肌の生まれ変わり)を活性化させ、シミ、小ジワ、ニキビへの効果が期待できます。
また、ハイドロキノンは、シミを薄くする効果が期待でき、トレチノインと併用することでその効果は高まります。
そのため、色素沈着に対しこの2つの薬は併用されることが一般的です。
ですが、トレチノインハイドロキノン療法をおこなっている間は、肌が非常に敏感になるというデメリットがあります。
性質上、紫外線への防御力も落ちてしまいますので、紫外線対策は必須です。
夏場にトレチノインとハイドロキノンを使いたいけど、使っていいのか心配という方も多いのではないでしょうか。
ですので今回は、「夏場にトレチノイン&ハイドロキノンを使って大丈夫?」というテーマで解説していきたいと思います。
シミができる理由
トレチノイン&ハイドロキノンについて理解するには、シミができる仕組みを知る必要があります。
では、シミがなぜできるのかというと主な原因は紫外線です。
紫外線は細胞を傷つける有害な光の波長で、その防御反応として黒色メラニンが生成され日焼けをします。
この黒色メラニンは、ターンオーバーによって時間とともに剥がれ落ちるため、通常であれば元の肌の色に戻ります。
しかし、加齢や長年紫外線を浴び続けることで皮膚の再生能力は落ちてしまいます。
皮膚の再生能力が落ちターンオーバーが滞ってしまうと、黒色メラニンの排出がうまくいかずシミとして残り続けてしまうのです。
トレチノインとハイドロキノンがシミに効く仕組み
トレチノインは、皮膚の再生能力を活性化し、滞っていたターンオーバーを正常化します。
また、ハイドロキノンはメラニンの合成酵素であるチロジナーゼを阻害する働きがあり、新たなメラニンが作られるのを阻害します。
つまり、シミの排出の促進、新たなメラニンの生産を抑えるという2方向からシミへアプローチすることができます。
ですが、トレチノインハイドロキノン療法は副作用の強いスキンケアとなります。
皮膚のターンオーバーが促進され皮むけがおき、メラニンの生成も阻害されていますので、紫外線に対して無防備な状態になります。
そのため、トレチノイン&ハイドロキノンの使用中は、徹底した紫外線対策を行わなければなりません。
夏に使用しても問題はないの?
紫外線に無防備となると、心配になるのが夏場の紫外線です。
結論からお話しすると、夏場の肌の露出する場所への使用は避けた方が無難です。
まず、トレチノインハイドロキノン療法中に強い紫外線を浴びるとシミが出来てしまうリスクがあります。
また、夏場は汗をかくというのも以下にあげる問題があり、トレチノインハイドロキノン療法を難しくします。
・治療期間は、化粧水がしみるほど肌が敏感になり、かゆみを伴うため汗による不快感が大きい。
・スキンケアの際に塗布をしますが、風呂上りは汗をかいているため薬の馴染みが悪い。
・日焼け止めを塗っているつもりでも汗で落ちやすい。
生活環境によっては夏場でも使用は可能ですが、紫外線対策の難易度が高い夏は避け、秋まで待った方が良いかと思います。
トレチノインハイドロキノン療法におすすめの季節
では、どの季節がトレチハイドロキノン療法に適しているのかというと、国立環境研究所の年間の紫外線量観測データによると、10から3月が紫外線の少ない期間となります。
ですので、秋から冬にかけてがおすすめの季節となります。
7~9月は紫外線量が多い印象がありますが、4~6月の期間も紫外線量は多いので注意が必要です。
また、トレチノインとハイドロキノンの使用期間は、冬場の短時間であっても外出時には日焼け止めは必ず使用して下さい。
肌がデリケートな状態になっていますので、紫外線吸収剤不使用の刺激の少ない日焼け止めをおすすめします。
紫外線吸収剤不使用のものは、SPFが30以下のものが多いのですが、SPFは10あれば約90%、SPF30であれば97%の紫外線遮断率になりますので、多くのクリニックで推奨されているSPF20~30以上のものを選べば良いでしょう。
ただし、日焼け止めは2~3時間おきにこまめに塗り直すようにして下さいね。
まとめ
トレチノイン、ハイドロキノンの使用には徹底した紫外線対策が必要になります。
また、汗による使用の難しさもあるため、基本的には夏場の使用は避けた方が無難です。
肌は休ませる期間も重要ですので、夏場は肌を休ませる期間ととらえ秋冬にスケジュールを組むことをおすすめします。
ほかに、トレチノイン&ハイドロキノンは、副作用の強い攻めのスキンケアとなります。
かならず、医師の指示のもと使用するようにしてください。